いじっぱり姫の青葉色は。
ちなみに、言ったことに嘘はない。昔やんちゃだった頃に、女子にしては激しめの喧嘩を男の子に混ざって何回かしただけ……うん、慣れてなんかないヨ。
それに、カッターナイフを向けられるなんて人生で初めての経験。今だって、弱っているところを見せないように身体の震えを止めるのに必死だ。
ぶっちゃけた話、今すぐにでもあいつらの背中に隠れたいくらい。
いくらあの空気から抜け出したかったとはいえ、こうなったのは完全に自業自得。恐怖を誤魔化すためにも猛省しよう。
「……ビビらねーし、つまんねーな。いっそこれをあっちに投げたら面白いか? どこに刺さるかわかんねーし」
ぶつぶつと呟く犯罪者予備軍。思考が普通じゃない。ただの下っ端じゃなかったのか。
どんな環境にいたらそんな快楽主義者になれるんだ。
……本格的にヤバい気がする。
いや、でもやつが持ってる武器があれ1つであるとすれば、1回避けたらなんとかなるか?
1回避けるだけ。いつもの反射神経を発揮するだけ。
ドッジボールは昔、男子とよくやってたし。避ける方が得意だったし。やることは変わんないでしょ。大丈夫、大丈夫。