いじっぱり姫の青葉色は。



 ……だけど、刃物にビビってる今の身体で、本当にすばやく動ける?


 もしも動けなかったら……投げられて威力を増した刃物が深く刺さって、痛くて、血がいっぱい出て。刺さるところが悪かったら……最悪、死ぬ?


 どうしよう。冷静になろうとすればするほど、ネガティブなことを考えてしまう。


 強がりなんて効かなくなるほどに怖い。身体がどんどん冷えていって、指の先すらも動かせなくなったのがわかる。


 それでも気丈に目だけはしっかり相手を睨んでて、相手がダーツのかまえで私を狙っているのが瞳に映った。


 あぁ、無理だ。もうダメだ。動きたくても動けない。私ひとりじゃどうにもできない。


「……誰か、助けて」


 叶うとも思っていない、漠然(ばくぜん)とした願いを零してしまったとき。


「うわっ」


 突然、下っ端の驚く声と無機物が落ちる音が重なって。


「ぐはっ」


 ドサリと。


 鳩尾(みぞおち)に強烈な一発をくらった下っ端は、あっけなく地面に伏せた。


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