いじっぱり姫の青葉色は。


 それで私はやっと自分の口調が女子としてダメだって自覚して……でも、染み付いたものはなかなか取れなくて。


 お母さんの根気強い教育のおかげで中学2年生にしてようやく、女の子っぽい口調で喋れるようになった。


 ……はずだったんだけれども。


「うるっせぇな! いい加減黙れよお前!!」


 苛立ちを抑えきれずに、ついやってしまった……。


 人間、怒りが沸点に達したときには素が出てしまうもの。


 授業中、しかも担任が担当している授業のときにやらかしてしまった。学校で荒れた口調を晒すことなんて、矯正して以来なかったというのに。


 でもね。私は我慢してた方だと思うんだよ。


 中学のときの教訓を生かして、静かにもそもそと学校生活を過ごしてきたんだよ。


 それが!今、私の横でけらけら笑ってる陽キャが!


 なんの関わりもないくせして!地味で陰キャの私に!


 何度も何度もしつこく絡んできたから!


 わかりやすい作り笑いを浮かべても!聞こえなかったふりをしてみても!


 あろうことか授業中にまで!無駄に絡んできて!私の勉強を妨害したから!


 ……思わず、素が出てしまったんだよ。



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