いじっぱり姫の青葉色は。
正直なところ、今回の盗撮は前科がついたり罰金を請求出来たりするものではない。
だから、たぶん警察に頼んだところで調べてはくれないと思う。
でも、口を滑らせたり感情が表情に出やすかったりする純粋な彼女たちに、考えがそこまで辿り着くとも思えない。
はったりだって時には大事だ。やりすぎるとこっちが別の罪に問われるみたいだけど、今回は成功しそうだし大丈夫。
「お二人の許可をいただけたら、警察に行く前に私が消して差し上げますが……いかがでしょうか?」
左手を差し出して、深い笑みを作った私。
おい、私の隣で突っ立ってるだけのやつ。笑いを堪えてても視界の端に肩震わせてんのが映ってるんだからな。
生クリーム缶のところへ行く前に出口に向かうぞ?
首を少し回し、そっくりそのままの笑顔を青葉薫へ向けた。意図は伝わったらしく真面目な顔に戻ったから、今回は許してあげよう。
「ご、ごめんなさい。警察は勘弁してください」
素直に手に持っていたスマホを私へ預ける女の子。無事に解決できそうでよかった。