いじっぱり姫の青葉色は。
「はい。スマホ、お預かりしますね。あ、私があの子の写真以外を消さないように、画面を見ててもらえますか」
そうしてフォルダを見てびっくり。
唯くんだけじゃなくて他の面子も撮られてた。しかもそれぞれが複数枚。
女子からの視線が敵意ありまくりだったのは気のせいじゃなかったってことか。
苦い思いをしつつ、もう一人のスマホからも同じようにデータを消した。
「あ、あの、本当にごめんなさい。もう二度としません……!」
「穏便に解決してくれてありがとうございました。お二人とも、嗜好が同じようなので心配ないかと思いますが……どうかお幸せに!」
深々と頭を下げた2人は心から反省しているようでなにより。
なにやらよくわからない応援をいただいたけれども。
「……くくっ」
「なに笑ってんの?」
「意味わかってねーのが可愛くて……くくっ」
「はぁ?」
いい加減ムカつくから一発グーパンでも入れてやろうと右手を持ち上げる。
すると、じゃらりという音と共に持ち上がった青葉薫の左手。
連鎖するように浮かんだのは“嗜好が同じ”というセリフと、女の子たちの生暖かい視線。
まさか、私たちは特殊な癖を持ったカップルだと思われてるの!?