いじっぱり姫の青葉色は。



「い、いますぐにこれを外せー!」

「それは無理。お前に権利があるのは行き先を決めることだけだからな」

「ぐっ……」


 勝ち誇った顔をしてんのが、なおのこと敗北感を増幅させられる。……最悪な一日だ。


 なにも言えずに押し黙っていると、誰かが私の左肩を叩いた。


 そちらに目を向ければ、唯くんが眉を寄せてこちらを見下ろしていて。


 なるほど。消してもらえたかどうか気になるんだね!


「安心して! ちゃんと消してもらえたから!」

「……そうじゃなくて」


 私の報告で晴れやかな表情になるはずが、唯くんは魚の小骨が喉につっかえたような表情のまま。


 察し能力に自信がある私と言えど、この一筋縄ではいかない軍団の心情を計り知るのは難易度が高い。


 待つしかない私は口を閉ざしてウェルカム態勢をアピールした。すると、唯くんもなにかを言う準備ができたようで小さく口を開いた。


「……ありがと」


 照れ臭くなったのか、定位置である笹羅くんの隣へ戻っていく唯くん。


 心なしか笹羅くんの陰に隠れるように立っている。


 はー、本日も唯くんの可愛さは安定!


 推しがデれてくれたことだし……今日は最高の一日だ!


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