いじっぱり姫の青葉色は。
呑気に笑ってるバカっぽい顔を見たら怒りが再燃して、つい胸ぐらをつかんでしまう。『ぐえっ』なんてカエルが踏まれたみたいな声を出すから、ネクタイを捕まえる方に変えたけれども。陽キャはすぐにヘラっとした顔に戻った。……もう一度苦しめてやろうか。
掴む位置を変えようと一瞬手を離したとき、陽キャがハーイと大きく片手を上げた反動で赤いネクタイがするりと私の手から逃げた。ムカつく。
「桐山流星、18歳!」
「そんなの知ってるし、そういうことを聞いてるんじゃない!」
「特技は喧嘩です!」
「うん。それも聞いてないし、そんなことを誇るな?」
「えー……じゃあ、バイクでなっがーい平均台の上を爆走できること!」
「地味に凄いけど、危ないから二度とするなよ……?」
「撫子って優しいね~」
「褒めたってなにも出ないし、許さないんだからな!」
「……漫才?」
「漫才じゃねーよ!」
確かに、桐山の天然ボケにツッコミ続けた私も悪いけどさ!漫才するほど仲良くないから勘違いしないでよね!