【電子書籍化】飼い犬(?)を愛でたところ塩対応婚約者だった騎士様が溺愛してくるようになりました。

 その時、重い空気を壊してしまうように、ノックすることもなく扉が開く。
 そこに現れたのは、上級魔道士アイリスだった。
 アイリスは、ランティスが起き上がっていることに気がつくと、軽く目を見開いた。

「ああ……。生き延びたんだ? あれだけ、魔力回路を酷使しておいて。やっぱり、普段の鍛え方が違うからかな? それとも、メルメルの魔力に君の魔力がもともと含まれていたからかな?」

 紫色の瞳が、興味深いことを研究したいという欲求に細められる。
 アイリスは、生粋の魔道士だ。それは、魔の道を追求する人間ということだ。
 そして、その後ろから騎士服とローブを身に着けた黒髪の少年が入ってくる。

「貴様……!!」

 枕元に置いてあった剣を掴んだランティスが、ベッドから飛び出そうとするのをメルシアが抱き着いて止める。
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