【電子書籍化】飼い犬(?)を愛でたところ塩対応婚約者だった騎士様が溺愛してくるようになりました。
その答えは、おそらく正解であり、不正解なのだろう。
人生に正しい選択など、ほとんど存在しないのだから。
それでも、ランティスは、そっとメルシアの手に指を絡めた。
「そ……。分かったわ。その前に、どうしてメルメルの魔力にフェイアード卿の魔力が混ざっていたのかだけど……」
「…………それは、予想がついていないわけではない」
「魔法の起源には、諸説ある。でも、太古にいたという、獣に姿を変える力を持っていた人間。その血が、私たちに魔法を与えたという説が有力だわ」
「獣に姿を変える祖先には、自分の魔力を人に与える力があったと?」
メルシアに近づかないようにしていた時は、ランティスにすら気がつかないほど微かだったが、婚約してそばにいる時間が増えた時に、違和感を感じていた。
メルシアの魔力には、ランティスのそれが混ざっている。
「いつから? たぶん、初めて会った時に、兆しはあったはず」
「初めて会った時の、あれか」