【電子書籍化】飼い犬(?)を愛でたところ塩対応婚約者だった騎士様が溺愛してくるようになりました。
「ふぅ……。帰ったか」
メルシアが見上げたランティスの顔色は、蒼白に近い。それはそうだ、一週間も寝たきりだったのだ。
「少しだけ食べてください。……お粥です」
しばらく何も口にしていなかったランティス。
メルシアが用意したのは、トロリと煮込まれた粥がほんの少しだ。
「お口に合うかどうか」
「……もしかして、メルシアが?」
「そうですよ? 無理のない範囲で、食べてくださいね」
「全部食べるよ」
「……ダメです! ゆっくり少しだけ食べて」
ふぅ。と少し匙に息を吹きかけて冷ますと、メルシアはランティスの口元に持っていく。