【電子書籍化】飼い犬(?)を愛でたところ塩対応婚約者だった騎士様が溺愛してくるようになりました。
メルシアが倒れたという連絡を受けたジークは、蒼白になりながら治癒院に駆けつけた。
しかしそこには、意外にも元気そうな姉がいた。
その時には、事後処理は全部完了していて、現場責任者の能力の高さがうかがわれた。
メルシアを直接助けてくれたのは、ベルトルト・シグナーだったと、ジークは聞いていた。
その、ベルトルトを助けようと光魔法を酷使しすぎてメルシアは倒れてしまったらしい。
(無茶な魔法の使い方は、危険だってあれほど言っておいたのに……)
だが、恩人の命がかかっていたのだ。
人のいいメルシアが、見捨てるなんて出来るはずもない。たしかに、シグナー卿は、いい人だ。
しかし、ジークの予想を覆し、メルシアが恋に落ちたらしい騎士は、身を挺して姉をかばったベルトルトではなくそのあとに風のように現れて、事件を解決して去っていったというランティスの方らしい。
「あのフェイアード卿……?」