【電子書籍化】飼い犬(?)を愛でたところ塩対応婚約者だった騎士様が溺愛してくるようになりました。
キョトンと丸い瞳を瞬かせるメルシアは、確かに絶世の美女ではないかもしれないが、庇護欲をそそる可愛らしさだ。絶世の美女より、メルシアのほうが好みという異性は多いに違いない。
そして、フェイアード卿は、その有能さと人脈と権力すべてを使って、メルシアとの婚約を短期間で成立させてしまったのだった。
婚約が決まってから、しばらくの間、元気がなかったメルシア。
だが、遠征訓練に出かけていたジークが、そのことを知ることは出来なかった。
もしも、ジークが近くにいたなら、姉の様子を心配して何かしらの手を打ったのだろうが……。
ジークが戻ってきたときには、メルシアは、以前よりも幸せそうに……。
「それでね! 訓練の時にベルトルト様と打ち合う姿がとても素晴らしくて、訓練場にいた私たちの心が一つになったように思えて……」
「えっと、姉さん」
「なに?」
「その人、姉さんの婚約者だ」
「え?」
「…………ランティス・フェイアード卿は姉さんの婚約者だ」
「え?!」