【電子書籍化】飼い犬(?)を愛でたところ塩対応婚約者だった騎士様が溺愛してくるようになりました。
「え?!」
「イヤ?」
「嫌じゃ……ないですけど」
メルシアは、赤面してしまうのを止めることが出来ない。
冷酷な視線、表情のない顔を向けてきていたランティスは、最近まるでラティのようだ。
そして、最近はラティになる前に自分から狼へと姿を変えるラティの姿をしたランティス。
(まるで、ランティス様とラティの垣根がなくなってきているみたい……)
そのせいなのか分からないが、ランティスがメルシアのそばで人の姿でいる時間は、二時間程度まで伸びている。たくさん会話が出来て、メルシアはうれしいのだが、その言葉が甘く、しかも行動はラティのようにストレートなので、翻弄され続けている。
「――――どちらにしても、メルシアが狙われている可能性がある以上、一人にはできない」
「ランティス様……」
「ここにいて。少なくとも、フェイアード侯爵家の従業員たちは、有能で、メルシアを守ってくれるから」