【電子書籍化】飼い犬(?)を愛でたところ塩対応婚約者だった騎士様が溺愛してくるようになりました。
そして、いつもメルシアのことを優先させた上に、自分の行動に自信が持てないらしいランティス。
メルシアは、真っ直ぐにランティスを見つめたまま、一歩近づく。
「うれしいです」
ポスッとおでこをランティスの二の腕に軽くぶつけるメルシア。
その顔は、先ほど箱推し騎士団に興奮していた時よりも、さらに赤い。
「うれしいです。ランティス様が、私のことを考えてしてくれたこと、全部」
「メルシア……」
「たまに気を使いすぎて、すれ違ってしまうことがありますけど、それでもその気持ちがうれしいんです」
メルシアは、そのままランティスの腕に、自分の腕を絡めた。
「甘いものが好きだと言ったら、いつもミルクティーと美味しいお菓子を用意してくれていたことも。危険な目にあったら、いつだって助けられるよう見守っていてくれたことも。メルセンヌ伯爵領が災害に襲われた時、戦ってくれたことも」
メルシアは、絡めた腕を引き寄せる。
「でも、ランティス様がしてくれたこと、私のためにしてくれていたなんて知らなかったから」
「……メルシア」
「もっとたくさん、私の気がつかないうちに、色々助けてくれていたんですよね、きっと」