【電子書籍化】飼い犬(?)を愛でたところ塩対応婚約者だった騎士様が溺愛してくるようになりました。
(こ、この二人のご関係はいったい……?)
固唾を飲んで見守っているメルシア。
その様子に気がついたらしいランティスが、メルシアの腰に手を回し、そっと自分に引き寄せる。
「行こうか、メルシア」
「ランティス様?」
「どちらにせよ、時間切れだ。執務室に戻る」
「あっ……」
ランティスが、姿を変えてしまうまで、それほど時間がない。
「マーシス殿、報告があるのだろう? 申し訳ないが、私用で離れる。……アイリス、あとは頼んでいいか」
「任せられたわ」
メルシアの手を引くランティス手は、すでに熱を帯びている。
そのまま、執務室に入るとランティスは、鍵をかけて仮眠室へとメルシアを誘った。
仮眠室の扉が閉められる。
自然と魔道ランプにオレンジ色の光が灯った。
促されるままに、椅子のない部屋の簡素なベッドにメルシアは腰掛けた。