【電子書籍化】飼い犬(?)を愛でたところ塩対応婚約者だった騎士様が溺愛してくるようになりました。
それが許されるのも、アイリスの研究が他の魔道士とは次元が違うからなのだが。
「……この魔法を見ても、メルメルは、私のこと、絶対に怖がったり嫌悪したりしない!」
「…………そうか」
メルシアは、きっと「すごい!」と無邪気に心から褒めるだけで、アイリスを恐れたりしない。
「メルメルと、またお茶したいの」
それはお茶会とは名ばかりの、いかに騎士たちが、特にランティスがカッコよくて素晴らしく尊いかをメルシアから聞かされるだけの時間だ。
それでも、アイリスにとって、それはとても得難い時間で。
「み、つけた」
「…………ワフッ!」
「クルルッ?!」
その言葉を聞いた瞬間、ランティスはクルルクを咥えて、扉から部屋の外へと飛び出していった。