【電子書籍化】飼い犬(?)を愛でたところ塩対応婚約者だった騎士様が溺愛してくるようになりました。
もしも、周囲に人がいたならの話だが。
今、庭園は人払いされ、二人きりの空間だ。
婚約者のお茶会は、こうして月に2回開かれていた。
(それでも、私にとっては大事な時間なの。でも、もうすぐ婚約破棄の話が出るだろうって思っていたからそこまでショックではないわ。たぶん)
訓練場を訪れては、遠くから見守っているだけだった、騎士ランティスの家、フェイアード侯爵家から婚約打診されたのは、かれこれ半年前のことだ。
不思議なほどスムーズにランティスの婚約者に納まったメルシア。いまだに理解が追いつかないまま、今日も婚約者のお茶会に臨んでいた。その席で、無表情のランティスから婚約破棄は言い渡された。