【電子書籍化】飼い犬(?)を愛でたところ塩対応婚約者だった騎士様が溺愛してくるようになりました。
まだ、時々ラティになってしまうランティス。
狼姿を受け入れたとはいっても、まだメルシアのそばで変身してしまうのを完全にコントロールできない。
そして、時々ラティのように感情表現してくるランティスに、メルシアはすっかり翻弄されている。
「尊い訓練後の騎士様とか、むしろご褒美ですけど……。まだ、訓練中なのでは?」
「もう昼だ。今日の訓練は、終わりだ」
「それでは、きちんと号令をかけてきてください」
「了解した」
駆け戻っていくランティスに小さく手を振る。
メルシアは、なぜか尊敬の目線を騎士たちから向けられていることに気がつかない。
号令が終わり、騎士たちが解散すると、ようやくメルシアは、ランティスの元に駆け寄って、淡い緑の光を帯びた金色のリボンで飾られた差し入れを手渡した。