【電子書籍化】飼い犬(?)を愛でたところ塩対応婚約者だった騎士様が溺愛してくるようになりました。
番外編 推し活は晴天とともに
青い空、白い雲。メルシアは、白いワンピースを着て、騎士団の公開訓練を訪れていた。
ランティスの姿を遠くに見つけると、黄色い声援を送る。
こちらを振り返ったランティスは、まるでメルシアの声が聞こえたかのように微笑みを浮かべた。
周囲から歓声が上がる。
「――――さすが、ランティス様。周囲の視線が釘付けです」
ランティスの視線に関しては、もちろんメルシアだけに向けられていることに、本人は気がつかない。
時々、ランティスがラティみたいになってしまったり、思わぬところで狼姿になってしまうことがあるにしても、今日もメルシアの周囲は平和だった。
「ランティス様……今日もかっこいいです。こうして遠くで見守っているだけで、隣の国の人にまでかっこよさを布教してわかり合いたいほど幸せ……」
「あなたの旦那だわ」
気がつくと隣には、上級魔術師アイリスがいた。
その瞳は、やはり紫色なのだが、日差しの下にいる彼女の瞳は、もう相手に不安を与えたりしない。