【電子書籍化】飼い犬(?)を愛でたところ塩対応婚約者だった騎士様が溺愛してくるようになりました。


 ***

 気がついた時には、メルシアはメルセンヌ伯爵家の自分の部屋にいた。
 血だらけになっていたであろう服は、着せ替えられ、妙にさっぱりしている。

 ガバリと起き上がると、父と母と弟に抱きつかれた。

「あの、私……。っ、というよりあの騎士様は!」
「ランティス殿が、メルシアを助けてくださった騎士様は、無事だと言っていた」
「ランティス様?」

 たしか、倒れた騎士はベルトルトと呼ばれていた。ということは、ランティスは、後から来たオリーブイエローの瞳の騎士に違いない。

「ランティス殿は、フェイアード侯爵家の長男だ」
「侯爵家?」
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