【電子書籍化】飼い犬(?)を愛でたところ塩対応婚約者だった騎士様が溺愛してくるようになりました。
打診が来たあの日。どうして、王国の剣ともいわれ、絶大な権力をもつフェイアード侯爵家からそんな申し出がきたのかと、貧乏伯爵家でしかないメルセンヌ家に、激震が走った。
『姉様は、見た目だけはいいから。どこかで、見初められた?』
あの時、見た目がいいと弟は、言ってくれたけれど、動揺のあまり出た言葉だろうとメルシアは思っている。
貧乏伯爵家の長女であるメルシア・メルセンヌは、ごく普通の容姿だ。少なくとも、本人はそう思っている。
髪の色は、淡い茶、瞳の色は緑色と、この国ではよくある色合い。
二重の大きな瞳と小さな唇、気持ち低めの鼻は、可愛いといわれるが、美女というよりは、小動物系だろう。