【電子書籍化】飼い犬(?)を愛でたところ塩対応婚約者だった騎士様が溺愛してくるようになりました。

 その日から、メルシアは、ランティスを遠目に見ては、幸せに浸るようになった。
 
 もし、次があるならもっと役に立ちたいと、光魔法の訓練にも力を入れた。
 仕事で疲れた日も、ランティスの噂話を聞くだけで元気になれた。
 何もない日も、毎日楽しく過ごすことができて、メルシアは幸せだった。

 あいかわらず、光魔法はそれなりだったけれど、魔力量は上がり、治癒院でのお給料も少し増えた。

「うふふっ。推しっていうらしいの」

 治癒院で、いつも話を聞いてくれるマチルダに、幸せいっぱいの笑顔でメルシアは、いつも噂で聞いたランティスの活躍を語る。
 治癒院が休みの日には、公開訓練を見るため騎士団の訓練所に通った。
 遠くから見るだけで、少しずつランティスのことを知るだけで、メルシアは本当に幸せだった。

 そう、あの想定外の婚約の申し込みが来るまで、メルシアは、幸せいっぱい、ランティスの推し活を満喫していたのだ。
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