【電子書籍化】飼い犬(?)を愛でたところ塩対応婚約者だった騎士様が溺愛してくるようになりました。

 メルシアは知っている。ランティスが、何よりも騎士という仕事に誇りを持っていることも、誰よりも努力してきたことも。
 騎士は、緊急要請がない限り、比較的緩やかに働いている。
 けれど、ランティスに関していえば、所定の休暇も取らないせいで、上から休みを取るように常日頃言われているくらいなのだ。

 それは、ランティスにまつわる噂話の一つ。
 でも、推し活をしていても、ランティスが休みを取っているなんてこと、一度もなかった。
 だから、メルシアはいつも、ランティスが働き過ぎなのではないかと、心配していた。

「……まさか、お体の具合でも?」
「フェイアード侯爵に、それとなく聞いてみたのだが、そういうわけではないらしい」
「それなら、いったい何があったというのですか」
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