【電子書籍化】飼い犬(?)を愛でたところ塩対応婚約者だった騎士様が溺愛してくるようになりました。
(私とのことが、関係しているなんて思うのは、自意識過剰なのかな。でも……)
すっと、ランティスの瞳が細められた。
やはり、今回のことにはメルシアが関係しているに違いない。
「……少しでも長く、メルシアと過ごしたいと思っただけだ」
「え。………………えぇっ?!」
「それで、気がついたら長期休暇を申請していた。……メルシアの予定も聞かずに、迷惑だっただろうか。しかも、騎士団を休んでも……時間が細切れにしか取れない」
「迷惑なんて……そんな」
うれしいです、と言えたならどんなにいいだろうか。
でも、ランティスの意図が掴めないメルシアは、その言葉を続けることがどうしてもできなかった。
「もし、できるなら、できる限りこの屋敷にいてもらえないかな? ……無理を言っているのはわかっている。だけど」
「わかりました!」
だって、どう考えても、ランティスは何かを抱えている。
メルシアは、ランティスのことが心配で仕方がない。
「私にできることなら、何でもしますから!」
グッとこぶしを握り締めて、メルシアは宣言する。
その言葉に、ランティスはなぜか露骨に眉を寄せた。
「……ほかの人間の前で、そんなこと言ったらだめだから」
「ランティス様くらいにしか、言いませんよ」
「……ある意味、もっとだめだ」