【電子書籍化】飼い犬(?)を愛でたところ塩対応婚約者だった騎士様が溺愛してくるようになりました。
ラティが、屋敷を飛び出した時、メルシアは事件に巻き込まれていた。
(人生二度目の命の危機?!)
メルシアは、自分のうかつさを呪った。
けれど、どうすることもできない。
「……こんなことをして、ただで済むと」
「光魔法を持っている人間は希少だ。その自覚がないのが悪い、そう思わないか?」
「――――っ」
逃げようにも、すでに路地裏に連れ込まれて、逃げ場を失ってしまった。
最近の王都は、治安が悪くなる一方だ。
ランティスが忙しいのは、王都の治安を守るためでもある。
もちろん、いつも、メルシアは、周囲に気を配って生活している。
光魔法を持つ人間が攫われる事件が、最近いくつか起きていたから、なおさらだ。
まさか巻き込まれるなんて。
「…………まあ、でも。殺しはしないさ、光魔法が欲しいだけだ」
「え?」
そういえば、事件に巻き込まれた人間は、みんな命まではとられなかった。
その代わり、魔力が枯渇するまで、光の魔力を奪われてしまったのだ。
通常であれば、魔法を使うことが出来るまで、しばらくかかるだろうが、命に別状はない。