【電子書籍化】飼い犬(?)を愛でたところ塩対応婚約者だった騎士様が溺愛してくるようになりました。
(――――魔力の枯渇……。普通であれば、しばらく気を失う。それだけで済むだろうけれど)
けれど、メルシアの場合はそういうわけにはいかない。
なぜならば、一度メルシアは……。
バシャンッと、甘い香りのする液体を頭からかけられたメルシア。
(……ランティス様!)
猛烈な眠気が襲ってくる。
メルシアの魔力は、一度焼き切れてしまっている。
それは、騎士ベルトルトを助けるために、魔力の限界を超えて治癒魔法を行使したせいだ。
『今度、魔力を枯渇させるようなことがあれば、光魔法どころか、魔力を使うことができなくなる。運が悪ければ、命にも関わる。無茶をしないことだ』
治癒院の、院長の言葉が頭の中に警笛を鳴らすように響き渡る。
けれど、すでに眠気は限界を超えて、どうすることもできない。
ドサリ……。と倒れたメルシアは、連れ去られてしまうのだった。