【電子書籍化】飼い犬(?)を愛でたところ塩対応婚約者だった騎士様が溺愛してくるようになりました。
「あの、ランティス様は……本当にラティなのですか?」
たしかに、目の前で姿が変わるところをメルシアは確認している。
それでも、あまりの違いに、信じられないという気持ちが先に立ってしまうのだ。
「――――俺は、俺だ。ただ……」
「ただ?」
「…………好きだ、メルシア」
「えっ、ええ?! きゅ、急にどうしたんですか?!」
そばに寄って、土下座しているランティスの前にしゃがみ込めば、メルシアが想像もしていなかった言葉が伝えられる。
まったくもって、心臓に悪い。
「好きだ。メルシアが好きだ。今だってこんなにも好きなのに、狼になるとそれしか考えられなくなる」
「え?」
「狼の姿になった時、それまでの記憶や感情はある程度、残っているのだが、価値基準や行動が人間とは、完全に違うんだ」
「ええ?」