【電子書籍化】飼い犬(?)を愛でたところ塩対応婚約者だった騎士様が溺愛してくるようになりました。
「あー、行ってしまった」
メルシアは、残された紅茶を一口飲んだ。
甘いものが好きだと言ったら、次のお茶会からは、紅茶にはミルクとお砂糖が入るようになった。
さすが騎士様はちがう、とメルシアはとても感動した。
(これから先は、遠くから眺めよう。それが、幸せに違いないもの)
心臓が壊れてしまいそうなドキドキ。近すぎると、胸が苦しくなってしまうから。
遠くから眺めて、素敵だとため息をつくくらいの距離が、メルシアにはちょうどいいのだろう。
そう納得しようと思ったのに。
なぜか、お茶の味がしょっぱい。
「キュウン……」
その時、モフモフな毛並みの大きな犬が、メルシアを気遣うように擦り寄って来た。