【電子書籍化】飼い犬(?)を愛でたところ塩対応婚約者だった騎士様が溺愛してくるようになりました。
しばらく経って、ベルトルトとともに戻ってきたランティスは、人間の姿に戻っていた。
先ほどまでの、私服からいつもの騎士服に着替えている。
「メルシア、悪いが騎士団で火急の案件だ。…………ここで、待っていてくれるだろうか」
ここ最近メルシアと一緒にいる時は、コロコロ変わって表情豊かだったランティス。
今はいつもの冷たさすら感じる雰囲気に戻っている。
むしろ、これがランティスの通常営業なのだろう。
「――――はうぅ」
「メルシア?」
「騎士服を纏った生のお二人が、目の前に……」
「――――うん?」
「あはは。相変わらずですよね。メルシア様は」
騎士服姿の二人が並んで立つと、まるで最近王都で流行している、騎士の立ち絵のようだ。
もちろん、メルシアは、自分のお小遣いのほとんどを、それらにつぎ込んでいる。
メルシアの部屋にある、年季が入ったライティングデスク。
そこには、たくさんのランティスの立ち絵が飾ってあるのだ。