【電子書籍化】飼い犬(?)を愛でたところ塩対応婚約者だった騎士様が溺愛してくるようになりました。
ベルトルトは、ランティスには及ばないまでも、副隊長を任されるほどの剣の使い手だ。
そのベルトルトに、いくらメルシアと子どもをかばったからといって、簡単に致命傷を与えられる相手には、限りがある。まあ、ランティスの前では、赤子同然だったかもしれないが。
「情報の出どころ……。教えていただけるのでしょうか?」
「いいよ。交換条件」
おそらく、その情報の出どころと、先日の光魔法を使う人間を狙った事件はどこかでつながっている。
それは、長年、騎士団で調整役を担ってきたベルトルトの勘だ。
「――――条件とは」
「フェイアード卿の婚約者と、会わせてくれないかな?」
「ランティス隊長に、直接頼むべきでは?」
「うん。この間、フェイアード卿の婚約者の勤める治癒院の交代人員に立候補したんだけど、すげなく断られた。いやぁ、あの目、射殺されるかと思ったよね」
諦め半分のため息。
おそらく、アイリスが情報の出どころを交換条件に挙げていたなら、ランティスがそんな対応をすることはなかったに違いないのに。
「……君たち兄妹が、今日も元気なの、誰のおかげ?」
「そうですね。あなたには、恩がある」