【電子書籍化】飼い犬(?)を愛でたところ塩対応婚約者だった騎士様が溺愛してくるようになりました。

 それは、目の前のアイリスのおかげであり、ベルトルト兄妹のために、アイリスに自分の魔力を実験のために差し出してまで頼み込んでくれたランティスのおかげだ。
 ベルトルトには、目の前のアイリスと、ランティスに返しきれないほどの恩がある。

「あ、そうそう。フェイアード卿の魔力の解析が終わったんだ」
「――――それは」
「婚約者の魔力も解析させてくれたらさ、なにかわかるかも?」

 それは、願ってもないことなのかもしれない。
 それと同時に、知りたくないことを知ってしまうという可能性が否定できない。

「…………ついて来てください」
「物分かりいいから、シグナー卿は好きだよ?」

 好かれたくないな。興味を持たれると実験に巻き込まれそうだから、とベルトルトは、だいぶ本気で思った。
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