言えないまま・・・
夏紀さんは小さくため息をついた。

「ここまで来たら、ハルさんには嘘はつけないわね。」

嘘?

「アキには主人の了解を得ておつきあいしてるって言ってあるけど、実は嘘なの。」

「どうして・・・?」

ああ、また頭がこんがらがってきた。

「婚外恋愛はそもそも、本気にならないのが条件。あくまで主人への愛が一番、その上で女性を磨いていくために主人以外の相手と恋愛をすることなんだけど。私はアキと出会って、普通に恋に落ちた。主人も子どもの存在も無視して。だけど、それをアキに知られるのが怖かったの。自分が本気になってるって知られるのが。」

夏紀さんの大きな瞳がかすかにうるんでいた。

それは、以前公園であった一人のお母さんではなく、誰かを愛する一人の女性だった。
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