言えないまま・・・

「ハルさんにはわからないかもしれないけど、それが結婚して誰かを本気で愛してしまった女のプライドなのよ。」

私は、わかるはずもない夏紀さんの気持ちが痛いほどわかるような気がした。

「だから、これ以上アキと関係を続けていくことができないの。最後まで、アキのために、アキが求める愛に応えたままアキから離れるしかない。もう、全てが限界なの。」

夏紀さんの目から涙があふれた。

見てはいけない涙を見てしまったような気がして、思わず視線をそらした。

「ハルさんにこうしてお会いできてよかった。」

「私に？・・・どうして？」