言えないまま・・・
背後に、ずっと聞きたかった声がした。

ゆっくりと振り返る。

そこには、少し私と距離を置いたアキが立っていた。

寂しい目をして。

アキ・・・やっと会えた。

本当はすぐに駆け寄って、その体を抱きしめたかった。

思わずぎゅっと拳を握りしめる。

「アキ・・・。よかった。」

言葉がこぼれる。

「何?こんなところまで何しにきたの。」

アキの声は今までにないくらい冷たかった。

胸の奥がズンと鈍く痛んだ。

「何しにって・・・荻原さんからアキと連絡がとれないって、困ってるって、夕方連絡があったわ。一体どうしたのよ?」

やっとの思いで言った。

「そっか。」

アキは深いため息をついた。

「そっか、じゃないわよ。皆困ってる。せっかく二人で作り上げた作品が無駄になるかもしれないのよ。どうして、荻原さんに連絡しなかったの?」

本当はそんなにきつく言いたくなかった。

自分の気持ちを押し込めるために、必死で鉄の鎧を被っていただけ。

「それで?わざわざそれだけのために来たわけ?」

アキは私の目を見ずに静かに言った。

それだけのため?

それだけのため・・・。

来ちゃいけなかったの?

体中が熱い。そして、息苦しくなってきた。

静かに呼吸を整える。

「あと、こないだのこともあって、気になってたし。」

「こないだって、ああ、優花ちゃんのドタキャンのこと?」

「う・・・ん。」

「もういいんじゃない?」

「ごめんなさい。」

「何が?何でハルが謝るわけ?」

だめだ。

私は息苦しくなって立っていることができなくなった。

思わず体がよろける。

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