言えないまま・・・
もう一度直太に打ち直した。

まずは赤ちゃんができてたって報告を入れて。

メールを送るなやいなや直太から携帯に連絡が入った。

「おい!大丈夫なのか?」

かなり気が動転した様子だった。

「うん、今は落ち着いてる。でも、しばらく入院したほうがよさそう。」

「そっか。とにかく俺今から早退するよ。入院準備も俺がするからハルはとにかく安静にしてろよ。」

「早退なんて、いいよ。こっちは大丈夫だから。」

「何言ってんだよ。絶対安静だろ?」

「そうだけど。今は体もしんどくないし、少しくらいなら動けるから。」

「お前はしんどくなくても、お腹の赤ちゃんはしんどいんだって。」

ハッとした。

そっか。

切迫流産で一番つらいのは、お腹の赤ちゃんなんだ。

私が無理ばっかりしてるから、苦しくて出血しちゃってるんだよね。

「ごめんなさい。」

思わず口からこぼれた。

「なっ、誤るようなことじゃないよ。とにかく、ハルはベッドで寝てろ。」

自分が情けない。


ここまで、自分のことばっかり考えて行動していた。

そう、すべてアキが私の中心にあった。

何やってんだろ。


以前、夏紀さんが言ってたっけ。

このままだったら、私だけじゃなく、子供まで壊れてしまうって・・・。

その時は、子供のことなんて実感もなくてわからなかったけど、今、その言葉の意味が痛いほどわかるような気がした。
< 204 / 215 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop