言えないまま・・・
あ、やだ。顔が熱くなってきた。

「理由は至って簡単。子どもが熱出しちゃったんだって。」

「はぁ、それは~・・・しょうがないか。」

理由を聞いて、なんだか拍子抜け。

「でしょ?でもさ、こういう理由聞くと、やっぱ婚外恋愛ってのも面倒くさいよね。」

「それを承知で付き合ってるんじゃないの?」

「ん、まぁそりゃそうだけど。あまりそういうのが続くとさ、相手の都合ばっかに付き合わされて、結局俺が会いたい時に会えないってことになって、俺の求めてる恋愛ができなくなってきちゃうんだよね。」

そういえば・・・。

アキの恋愛観って結構自己中心だったもんね。

自分は振り回すくせに、相手に振り回されるのは嫌なんだ。

勝手きわまりない話だわ。

「ふぅん。ま、アキの恋愛観だったらそういう感覚は不思議じゃないけど。普通、本当に相手を大切に思うなら、相手の都合に合わせるのは苦痛じゃないけどなぁ。」

アキは少し目を見開いて私の方を見た。

「普通?」

へ?

アキって思いも及ばないところに食いついてくるのよね。
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