トップアイドルの恋〜好きになってもいいですか?〜

サザンクロスの現場

「おはようございまーす!あれ?明日香ちゃん!」

やがて控え室に、充希を先頭にサザンクロスのメンバーが揃って入って来た。

「え、明日香ちゃん?ホントだー。どうしたの?」
優斗が続けて言う。

「おっ!もしや明日香ちゃん、俺達の衣装も作ってくれるの?」
直哉がニンマリと、探るように聞いてくる。

明日香は慌てて否定する。
「いえいえ、まさかそんな。ちょっと陽子さんに相談があって…」
「ふーん、そうなんだ。でもさ、ゆくゆくは俺達の衣装も作ってよ」
「そうだよー、明日香ちゃんのデザイン、いいもんね!」

直哉と優斗の言葉に、陽子が口を挟む。

「あら、どうもすみませんね。担当が私で」
「よ、陽子さん!け、決してそんな意味じゃ…」
「そ、そうですよ。陽子さんみたいなベテランの方に作ってもらって、ホントに感謝してますって!」
「ベテランのおばさんって事?」
「違います!違いますから!」

必死に否定する直哉と優斗の言葉に、どうだか…と腕組みしたあと、陽子は思い付いたように明日香を見る。

「明日香、良かったら今日の私の現場、手伝ってくれない?ヘルプがいないのよ」
「え、いいんですか?」
「うん。何かの参考にもなると思うしさ」

はい!と嬉しそうに明日香が返事をすると、また直哉達が盛り上がり始めた。

「おおー、明日香ちゃんが手伝ってくれるって!」
「じゃあ張り切って踊っちゃうよ〜」
「あら、私だけの時は張り切ってないのね?」
「陽子さん!だから違いますって!」

あははと皆が笑い、明日香は何気なく瞬を見た。
こういう時、いつもなら1人スマートフォンを触って話の輪に入って来ない瞬が、今日は充希の隣で穏やかな顔で皆を見ていた。
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