トップアイドルの恋〜好きになってもいいですか?〜
「お疲れ様でした!」

控え室で4人から衣装を受け取りながら、明日香が声をかける。

「明日香ちゃんもお疲れー!」

直哉がそう言って明日香にジャケットを渡したあと、メンバーを振り返った。

「いやしっかし、今日は俺、踊りながら全く誰の視線も感じなかったわ」
「ははっ!俺も俺も」
充希が同意すると、優斗も口を開く。
「踊りながらどころか、スタジオに入った時から、誰も見てくれなかったよ」

そして3人は、最後にカーテンから出て来た瞬を見る。
3人にじっと注目され、瞬はたじろいだ。

「え?なんだよ」
「いよっ!今日の主役!」
「やんややんや!」
「ヒューヒュー!」
「やめろってば!」

3人に髪をもみくちゃにされて、瞬は後ずさった。

「でもさ、昨日のオンエア、俺まで見ててドキドキしたわ」

ようやく落ち着いて、充希がそう言うと、他の2人も頷く。

「瞬、お前大丈夫なのか?」
ふいに直哉が心配そうに尋ねる。
「え?何が?」
「だって、お前。ああいうのサラッとやるタイプじゃないだろ?無理してんじゃないのか?」
「大丈夫だよ。無理してない」
「ほんとか?」
「ああ。大丈夫」

すると、それを聞いていた充希も声をかける。
「なんかあったら、いつでも話せよ」
優斗も頷きながら続く。
「それに、ドラマの撮影って忙しくなるから、ちゃんと睡眠も取ってね。他の仕事は、俺達もサポートするから」
「ああ。ありがとう」
そう言って瞬は穏やかな表情を見せた。

「へぇー。なんか瞬、変わったかも」
明日香の隣で、陽子が小さく呟いた。
< 111 / 173 >

この作品をシェア

pagetop