トップアイドルの恋〜好きになってもいいですか?〜
ドラマの撮影は、ほとんどが1発オッケーで、予定より早く終わる日もあるくらいスムーズに進んでいた。
次のシーンは、紗耶香が行きつけの店のカウンターで秀を見かけ、どうしたの?元気なさそう、と声をかけるところから始まった。
「そうかな?別に普通だけど」
「秀さ。自分が見た目に分かりやすく落ち込む癖、いい加減自覚したら?」
高校の時からそうだよ、と言って紗耶香は、右隣りに座る秀に微笑みかける。
え、そうだっけ…と苦笑してから、秀はポツリと話し始める。
「何やってもさ、上手くいかないんだよ。別に悩み事がある訳でもないのに、なぜかボーッとして、仕事に身が入らない。でもなんでなのかも分からない…」
紗耶香は顔を正面に戻して、少し考える。
「ふうん…。それって、何本シュート打っても決まらない。何が悪いのかも分からない、みたいな?」
「あ、そう!それ!」
「なるほどねぇ」
そして紗耶香は、自分の右肩を秀の左肩に当てながら、いたずらっぽく言う。
「スランプ…ですな」
「スランプ…なのか?」
「スランプ…ですよ」
そう言ってふふっと笑うと、手にしていたグラスをトンッとテーブルに置き、勢い良く立ち上がる。
「さ!行こ!」
「え?行くってどこへ?」
「スランプの時は、気分転換!」
そう言って秀の腕を強引に引っ張る。
「はい!カットー!」
(こりゃまた1発オッケーだ。いいぞー、リアル、リアル)
藤堂監督は、ニンマリと笑った。
次のシーンは、紗耶香が行きつけの店のカウンターで秀を見かけ、どうしたの?元気なさそう、と声をかけるところから始まった。
「そうかな?別に普通だけど」
「秀さ。自分が見た目に分かりやすく落ち込む癖、いい加減自覚したら?」
高校の時からそうだよ、と言って紗耶香は、右隣りに座る秀に微笑みかける。
え、そうだっけ…と苦笑してから、秀はポツリと話し始める。
「何やってもさ、上手くいかないんだよ。別に悩み事がある訳でもないのに、なぜかボーッとして、仕事に身が入らない。でもなんでなのかも分からない…」
紗耶香は顔を正面に戻して、少し考える。
「ふうん…。それって、何本シュート打っても決まらない。何が悪いのかも分からない、みたいな?」
「あ、そう!それ!」
「なるほどねぇ」
そして紗耶香は、自分の右肩を秀の左肩に当てながら、いたずらっぽく言う。
「スランプ…ですな」
「スランプ…なのか?」
「スランプ…ですよ」
そう言ってふふっと笑うと、手にしていたグラスをトンッとテーブルに置き、勢い良く立ち上がる。
「さ!行こ!」
「え?行くってどこへ?」
「スランプの時は、気分転換!」
そう言って秀の腕を強引に引っ張る。
「はい!カットー!」
(こりゃまた1発オッケーだ。いいぞー、リアル、リアル)
藤堂監督は、ニンマリと笑った。