トップアイドルの恋〜好きになってもいいですか?〜
「うーん、このステッキならいいかも。ほら、こうやってひねると一瞬で小さくなる。片手にも収まるな。で、これを素早く振ると…」

シュッと音がして、一瞬でもとのステッキの形になり、明日香は目を丸くした。

「すごーい!すごいよ、瞬くん!」

嬉しそうに拍手する。

「ね、ここに立ってもう一回やってみて」

瞬は立ち上がると、明日香の前に立つ。

と、ふと思い付いて背中を向けた。

そっと着ていたジャケットの内ポケットに手をやったあと、明日香を振り返る。

「それでは参ります」

気取ってポーズを取ると、明日香はパチパチパチ!と言いながら拍手する。

瞬は、手にしていたステッキを両手で目の高さまで持ってくると、明日香によく見せる。
次の瞬間、クルッとターンし、正面に戻ってきた時には、ステッキではなく右手にバラの花を持っていた。
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