トップアイドルの恋〜好きになってもいいですか?〜
瞬のアドバイスを忠実に再現しながら、3人はすっかり会得したように余裕の笑みで前に歩み出る。

皆が、お?と目を見張る前で、もったいぶって布を見せてから、ふっと不敵に笑い、一瞬でバラを出してみせた。

「ええー?!」

驚く一同に向かって、更に大人っぽい視線を送ると、バラを口元に近付けて囁く。

It's magic…

思わずゾクッとさせられる。

そして曲のラストの音に合わせて、3人は背中を向け、肩からチラリとバラを覗かせながらモデル立ちでポーズを決めた。

ジャン!

曲が終わると、おおー!という声とともに拍手が起こった。

「すっげー!何それー?」
「ほんと。何でそんな事が出来るの?」
「あなた達いつの間に?」

矢継ぎ早に質問され、3人はいつもの無邪気な笑顔に戻る。

その姿を明日香も嬉しそうに眺めていた。

と、ふと隣の瞬が思い出したように声をかける。

「そうだ、明日香。これ」

そう言って差し出したのは、明日香が貸していたマジックグッズのスポンジひよこだった。

「もういいの?」
「ああ。サンキュー」

明日香は瞬から受け取ったひよこを手のひらに載せると、
おかえり〜、“ひよ子“に“ぴよ子“
と言って、人差し指で頭を撫でている。

瞬はふっと笑って見ていたが、やがて何かを思い付いて頷いた。
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