トップアイドルの恋〜好きになってもいいですか?〜
「ええーっ?!」

明日香は、ベッドから落ちそうになるくらい驚いて、あたふたする。

「な、何言ってるの、瞬くん。だからそんな、責任取るとか、ホントに考えなくていいんだって」
「そうじゃないよ」

瞬は落ち着いた声でそう言うと、しばらく視線を落として考えてから、顔を上げた。

「明日香。俺さ…最近色んな感情が湧くんだ。今までは、ただ淡々と仕事をこなすだけだったのにさ」

瞬の真剣な表情に、明日香も座り直して静かに耳を傾ける。

「それは、環境の変化のせいだと思ってた。新しく1人でドラマに出ることになって、それで今まで感じたことのない感情になるのかなって。実際、そのドラマがきっかけで、悩んだり落ち込んだり、実は今もスランプから抜け出せないでいる。だけどさ」

そこでふと瞬は顔を上げた。

「そんな時、明日香と何でもない事で盛り上がったり、話をしたりして、自分の気持ちが明るくなるのを感じた。俺ってこんなに笑ったことあったっけ?って思うほどだった。1人で抱え込んで葛藤してる俺を、明日香が救ってくれるんだ。思い返せば、幾つもそんな場面があった。そして知らず知らずのうちに、明日香のことを考えている自分もいた」

そう言って、優しそうな笑顔を見せる。

「今日の現場、明日香と会えるかな?また何か話せるかな?今日はどんな面白い事があるかな?って。手品をやってるのを見かけた時は、何だこいつはー?!斜め上行き過ぎだろうって思ってさ」

ははっと思い出し笑いをする。

「でも、結局自分も手品にハマったりして。そんな自分の変化も楽しかった。俺ってこんな一面あるんだなって、自分でもびっくりで」
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