トップアイドルの恋〜好きになってもいいですか?〜
「じゃあ、言ってもいいかな」
「何を?」
「俺、高校生の時、紗耶香のことが好きだったんだ。そして今も」
「え?」

隠れて聞いていた秀も紗耶香と同じように、え?っと呟く。

「秀がいるならと思って諦めてたけど。違うんなら、俺と付き合って欲しい」
「え、そんな急に…」
「急じゃないよ。高校の時から5年間、俺は紗耶香をずっと想い続けてたんだ」

達也の真剣な表情に押されて、紗耶香は言葉を失う。

秀はたまらずその場を離れると、仲間のテーブルに戻り、
ごめん、急用が出来た。先に帰るわ。悪い。
そう言って5千円札を置き、そそくさと店を出た。

外に出ると大きなため息をつき、下を向いてしばらく何か考えたあと、クッと顔を上げる。
その顔は、決意に満ちていた。

「はい、カットー!」

瞬のもとに監督がやって来て、耳元で低く囁く。

「お前、ついにスランプ抜けたな?」

え?と瞬が顔を上げると、

「大人になっちゃってまあ!」

嬉しそうに笑って去って行った。
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