トップアイドルの恋〜好きになってもいいですか?〜

これぞ、アイドル!

「よっしゃー、行くぞー!」

雄叫びのような直哉の声が響く。

「おおー!!」

周りにいるメンバーはもちろん、スタッフ達も全員が叫ぶ。

いよいよ始まった、サザンクロスのドームツアー。

スタッフの数も尋常ではない。

明日香もこの時ばかりは、コットンキャンディよりもサザンクロスのサポートを優先していた。

本番1分前。

客席はもちろん満員。

待ちきれなくなったファンの手拍子が聞こえてきた。

明日香は、素早く4人に目を走らせ、衣装を再確認する。

「よし、オッケー」

落ち着いているつもりが、どうやらそうではなかったらしい。

気付けば自分の心臓の音が聞こえそうなほど、バクバクしていた。

「本番10秒前!」
「出ます!」

「よっしゃー!」

真っ暗なステージに、直哉、充希、優斗も駆け出して行く。

最後に瞬が、明日香の頭にポンと手を置き、すれ違いざま耳元で囁いた。

「見てろ、最高のステージ見せてやる!」

照明と音楽、そして彼らの姿がバーンと一斉にステージに現れ、観客はドームが揺れんばかりの歓声を上げた。

誰もがひと時も目を離せず、夢中で彼らを見つめる。

ファンも、スタッフも、そして明日香も…

最高のステージが、今、始まった。

(完)
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