トップアイドルの恋〜好きになってもいいですか？〜

そして紗季は、芸能界、それもアイドル部門のスタイリスト兼デザイナーらしかった。

芸能界には、アイドル部門の他にも、ドラマの女優さん専属のスタイリストなども派遣しているらしい。

今日は、紗季が衣装直しをするとのことで、教わりながらやってみる。
必要以上に緊張し、手に汗握りながらなんとか縫い終えた。

どうでしょうか？と紗季に見せると、うん、いいわねと言われホッとする。

紗季は、トルソーから少し離れると両手を組みながらつぶやく。

「んー、もう少しこのお花のスカートを変化させたいんだけどなー」

そして明日香に、どう思う？と聞いてくる。

「ええ？そんな…私には難しいことは分からないです」
「難しく考えなくていいの。単純にどんな感じがいいと思う？」

そうですね…と言って、トルソーの衣装と、先日撮影した時の衣装を見比べる。

「私だったら…花びらの大きさをもっと大きくしたらいいんじゃないかと思います。それをいくつか重ねて、すき間を作るんです。そうすると、見ている人にもお花のイメージが伝わりやすいし、3人の足も綺麗に見せられるんじゃないかと…」

そこまで言って紗季を振り返る。

じーっと腕を組んだまま何も言わない紗季の様子に、あ！すみません、何も分かってないのに…と明日香が焦ると、ううんと微笑む。

「それ、いいかも。やってみましょ！手伝ってくれる？」
「は、はい！」