トップアイドルの恋〜好きになってもいいですか？〜

「はい、本番3分前でーす！」
ADの声が聞こえた。

(ダメだ、間に合わない)

そう判断すると、明日香は素早く肩から掛けているサコッシュを開いた。
中には裁縫道具が入っている。
いつでも使えるように、針には予め数種類の糸が通してある。

明日香はそのうちの1本、りなの薄いブルーの衣装に似た色の糸を通した針を取り出した。

「どうしよう、明日香…」

3人は、今にも泣き出しそうな顔だ。

明日香は、素早くりなのリボンの形を整えながら口を開く。

「落ち着いて、みんな。今から言うことをよく聞いてね」

そう言いながら、整えたリボンが崩れないように、針を刺すポイントを考えつつ縫っていく。