トップアイドルの恋〜好きになってもいいですか?〜
うん、大丈夫と明日香は頷いたあと、急いで控え室に戻り、予備の衣装のカバーを開ける。

水色、オレンジ、黄緑の3着ある中で、りなのカラー、水色の衣装を手に持ち、また急いでスタジオに戻った。

ちょうどMCが、ひととおり出演者と軽く会話をした後、1組目の出演者の曲紹介をしているところだった。

明日香は、小道具などが無造作に置かれているスタジオの右奥に行き、辺りをキョロキョロと見渡す。

衣料量販店にあるような簡易更衣室を見つけると、すみません、ここお借りしますと、誰にともなく言った。

衣装のファスナーを下ろし、着替えやすいように空洞を作って置く。

「明日香!」
振り向くと、セットの隙間からりなが姿を現した。

1組目のアーティストが歌い始め、他の出演者も席に移動を始めたらしい。

「りなちゃん、こっち!」
明日香が手招きする。

「さ、早く着替えて」

りなが衣装を着替えると、明日香はリボンを結んでピンで止め、裾や袖を整える。
ぐるっと全身をチェックして、うん!とりなに微笑んだ。

モニターで、1組目のアーティストがアップで映っていることを確認すると、りなに、今よ!とささやく。
頷いた後、ありがとう!と言ってりなはセットの隙間から戻っていった。

明日香も急いで正面に回る。

りなは頭を下げながら、そーっと席に戻り、両隣のあみとふうかは安心したように、戻って来たりなに笑いかけた。
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