トップアイドルの恋〜好きになってもいいですか?〜
「ええー?8時まで?そんなに長い間待ってるの?」
「うん。でも思ってるよりすぐよ。他のファンのみんなと一緒にしゃべりながら、生放送をスマホで見てるとあっという間よ」

何より少しだけでも彼らを拝めるんだもん。
全然苦にならないよ!
と佳奈は続ける。

(ほえー、どんな心境なのかしら。そこまで出来るなんて)

雑誌は借りたいけれど、さすがにそんな遅くまでは付き合えないと断ると、
「あ、テレビ局まで一緒に行くだけでいいの。そこからは、他のファン友と一緒に待つから」
と佳奈は言う。

それならと、明日香は一緒に行くことにした。

放課後、佳奈と一緒に電車で向かう。

「いつもなら、クラスの他の女子と一緒に行ったりするんだけど、さすがに今日は無理だってさ。ほら、来週テストでしょ?」

佳奈の言葉に、あ、そうか、テストかと、明日香はため息をつく。

「佳奈ちゃんは?テスト大丈夫なの?それにそんなに遅くまで外にいて、おうちの人に止められない?」

吊革につかまりながら隣の佳奈を見ると、少し、うーんと考える仕草をする。

「そりゃね、やめて欲しいとは思ってるみたい。でも私ね、この追っかけ始めるまでは、超問題児だったんだ。家庭崩壊寸前、みたいな」
「え?そうなの?」
「そ。だからそれよりはマシって思われてるのかも」
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