トップアイドルの恋〜好きになってもいいですか?〜
それを見ながら、優子が紗季に話し出す。

「あの子達、今は本当に楽しそう。紗季さんと明日香ちゃんのおかげよ」

え?と紗季が優子の横顔を見る。

「少し前までね、元気がなかったの、あの子達。デビューしたばかりの頃は、売れたい、みんなに知ってもらいたいって必死だったから、やる気もあって頑張ってたんだけど。いざ人気が出ると、考えるのよね。ずっとこのままなのか、いつまで頑張ればいいのか、普通の女の子の生活はもう送れないのかってね」
まあこれは、あの子達に限った事ではないけどね、と付け加える。

「カメラの前では笑ってても、控え室ではいつもどこか辛そうで。言われた事をただ必死にこなすだけに見えた。私もそれが辛くてね。そんな時に、明日香ちゃんが来てくれて…」

その時、ひときわはしゃいだ声が上がった。
明日香が白いスカートを外し、緑のミニスカート姿になった3人が、また嬉しそうに踊り始めたのだ。

「見て、あんなに楽しそう。明日香ちゃんにデザインを見せてもらって、ああしたい、こうしたい、こんなのがいいって自分達の意見を言って。すっかり主体的になったわね」

目を細める優子の横顔に、紗季も安心したように微笑んで明日香を見た。

(ほんと、明日香のおかげね)
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