トップアイドルの恋〜好きになってもいいですか?〜
しばらく黙っていた瞬は、やがて口を開く。

「お前…」
「お、お前?あの!ワタクシ、小池明日香と申しますが?」
嫌味っぽくツンと顎を上げて抗議の目を向ける。

「明日香」
「よ、呼び捨て?」
「じゃあ何だ。"明日香ちゃん"とでも言えばいいのか?」
「う、さぶっ。身震いが…」
「ったく、なんなんだよもう!」

だんだん怒りだす瞬に、分かりました、もう何でもいいですから!と明日香は両手でなだめるように言う。

「それで、私が?どうしたんですか?」

話の先を促すと、瞬は明日香のスケッチブックに目をやりながら言う。

「お前、好きなのか?その仕事」
「……………は?」

あまりに突拍子もない話題に、明日香は目をぱちくりした。

「好きなんだろうな。そんなに熱心にやってるところを見ると」

いつになく真剣な表情の瞬に、明日香も考えながら答える。

「そうですね。好きです、この仕事。偶然始めたとはいえ、今はもう頭の中はデザインの事でいっぱいです」

そう言って、嬉しそうに笑う。

「偶然始めた?この仕事を?」

眉を寄せながら聞いてくる瞬は、やはりいつもと様子が違う。

明日香は、どうぞと近くの椅子を勧めた。
瞬は黙ってそれに従う。
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